■Text / photo OKAMAI (https://www.instagram.com/okamai_ja/)

ジャマイカで7日間にわたり開催されるレゲエの祭典”SUMFEST"も今年で27周年。大人気レゲエ、ダンスホールアーティストに加え、今年の見どころ90年代ダンスホールを作り上げた史上最高のプロデューサー、Mad house レーベルのDave kellyトリビュート、そしてコロナで開催されなかった2年の間に出てきた新しい人気アーティストたちの貴重なパフォーマンスで構成された世界一の豪華レゲエショーとなった。今回はSUMFESTレポートとSUMFEST開催中のモンテゴベイでの諸々をお伝えします。



SUMFESTとは今年で27回目の世界一のレゲエフェスといっても過言ではない。モンテゴベイにて毎晩パーティーが開催される1週間。この時期は海外からもレゲエファンが集結するため宿泊施設がなくなる。そんな泊まれない人たちのためにキングストンからもノッツフォードバスがSUMFEST特別便としてキングストンから会場まで、そしてSUMFESTのショー終了後にキングストンまで4時間かけて戻る特別便も運行される。モンテゴベイ付近の渋滞もこの時期はひどい。要するにジャマイカ国内中がSUMFESTの話題一色に染まるくらいのフェスなのだ。

月曜は入場料無料のSTREET DANCEとして今人気のShukkle busやベテランSKY JUICEが盛り上げた。火曜日はオールホワイトパーティーでアップタウンセレクターDJ courtneyもプレイ。会場中真っ白な服をきた人たちで埋め尽くされた。水曜はオールブラックパーティー"Blitz"で入場料も約9000円近くかかるが会場が満員で驚いた。

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ドレスコード(色指定)で会場の一体感、特に女子は何を着て行こうかとパーティーバイブスも上がるものだ。

木曜日はグローバルサウンドクラッシュで、今年はBass odyssey,Silver hawkの老舗2サウンドがジャマイカ代表として、そしてカナダのMystic,ガイヤナからexdus nuclear,そして前回のチャンピオン、一人でMC,セレクターをこなすドイツのWarriorサウンドが参戦。Bass odysseyがトロフィーを獲得した。惜しくも2位だったWarrior サウンドは一度バッドワード使いすぎで落とされつつも観客からの推しが強く復活し最終ラウンドでお互い曲を交互に1曲ずつ掛け合うTune fi tuneで10点中Odyssey がさきにノンストップで5点取りつつも、そのあと巻き返しで3点とって大奮闘を見せた。ちなみに巻き返しダブはSuper catのダンダダ。一気に会場の空気の流れが変わるのを感じ、楽しめるもクラッシュの一つの醍醐味だ。

優勝したBass odyssey

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Warrior soundマティアと彼の奥さん

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観客

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SUMFESTは常に"クリーンでバッドワード禁止"を強く押し出しているので特にサウンドクラッシュでプレイする側は気をつかわなければいけないものだ。アーティストがバッドワードをステージで使ってそのまま警察に連行されたなんてこともあるし、今年も新人アーティストが使ってしまいステージを途中で切り上げさせられた。銃問題、殺人がリアルに蔓延してるのでSumfestでは"ジャマイカをよくして行こう!”と取り組み、他にも大人数でのゴミ拾い活動などもやっている。

会場もゴミ箱の横にはプラスティック分別をする女性がいた

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いよいよ夜型人間が定着し出す。パーティーは一番盛り上がるのが11:30ごろ、そして3、4時まで開催される。パーティー後小腹が空いたとき、ジャマイカといえばジャークチキン!今年は”Reggae village”というエリアができ、パーティー会場近く、観光客の集まるホテル街に屋台やジャークチキン屋が集結し朝方まで販売していた。

どんなに連日夜遊びしても、朝起きてビーチも堪能したい方がいい。モンテゴベイは世界でもベスト10に入るほどの美しいビーチ、"ドクターケイブズビーチ”が有名だ。波の立たないマリンブルーの海にきめの細かい白砂、シュノーケルをすればカラフルな熱帯魚に珊瑚、100匹以上で群れを作り泳いでる30センチくらいの黒い魚、エイなどにも遭遇する。バーやレストランもあり、セキュリティもいる有料ビーチなので心の底からリラックスできるビーチなのだ。ビーチで寝て夜に備えることもできるけど陽に焼きたい人でも日焼け止めを塗ったほうがいいです。火傷になるので。

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さてお待ちかねの金曜日ダンスホールナイト。27組のアーティストが出演。8時入場開始だが夕立でぬかるみもひどいらしく設営にも時間がかかり約1時間半押しのスタートとなった。会場には長丁場となるので簡易椅子持参。11:30ごろHarry Toddler が90'sの自分のヒット曲連発で会場に火をつけた。キングストンで毎週金曜にGeneral Bと共に主催してる有名無名問わないアーティストショー、”boom box Friday” からの注目のアーティストたちを紹介しつつ、shelly belly,Energyなどのストリート人気ダンサーたちも入れての"middle east""Ruler"などダンサーアンセム連発で派手なステージ。 最後は数日前他界したマーシレストリビュートそして最年少(7歳)DJの MJも紹介とSUMFESTならではの凝縮された盛りだくさんなステージとなった。

harry toddler

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とにかく大人気Laa-Lee。もともと踊ることが大好きだったというLaa-LeeがVoice mailもステージに呼びダンスの渦に。"leggo di bird"では自分の母親をステージに呼びみんなで踊った終始アゲアゲなショーだった。

laa-lee

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そして今レゲエの枠を超えて大流行中"Bounce"を歌うDing dong が12:25に 15人のレイバースダンサー達も引き連れて大迫力のステージに。"Good thing deh ""bad man foward bad man pull up"などヒット曲を次々披露し、バイブス満タン、ステージを降りてフェンスも超えて(壊して)会場中繰り出す。最後の曲"Happiness"で会場全体が笑顔のハピネスモードになったこれぞSUMFEST!40分間の素晴らしいショーだった。

ding dong

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次に登場したのは強面ながらもStir fryなどのダンスも披露したChronic low、最後は"hillside"で会場中からホーンが鳴り響いた。ここ2、3年で出てきたRytikalは"chosen"で盛り上げ、ステージを駆け回った。一瞬裸に見える衣装で登場Ishawnaはジャマイカの首相、保健大臣の立て看板にもの言い、”Bonty killerの縦看板の顔の上にはまたがり、”equal rights"を披露でキラーを挑発した。(次の日キラーはishawnaのことを”魔女”や”マットレスー誰とでもヤる女”と罵った)

ishawna

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ダンスホールアーティストからインターナショナルアーティストとなったShenseaの登場を待ちわびてたファンからの大歓声が登場とともに会場を埋め尽くし歌う曲全て
女子大合唱。"この3人が私のキャリアを支えてくれているの。Romeichはドレスメーカーと呼ばれ、Black Boiはステージで私のセットを積み込み、Slydaはプロデューサーで、私のビートを作ってくれるんだ。”と今年3月に彼女が3人にプレゼントしたロレックスの腕時計を見せた。最後の曲"lighter"で、数日前警察官の彼に殺された女性と子供3人、母親みんな喉を刺されて殺された女性の追悼の意して会場全体ライターで埋め尽くされたのが印象的だった。

shensea 

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Spiceは宇宙服で登場。 ヒット曲連発後、首相に対し"貧しい人たちのことを無視して欲しくない"と訴えのダンスホールの現状についての社会批判、差別、犯罪、貧困問題について語った。そして会場から男性をステージにあげ、ビデオを撮らせながらのバックショットと濃い内容で魅了した。そのあとプロモーターからジャマイカの音楽とエンターテイメントへの貢献を称え表彰され、息子もステージに上がりSPICEにハグをした。

spice

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数日前に出演した"new rules" でのパフォームの方が良かったという声が多かったALKALINE、女性への暴力をやめろと訴えた450、曲の演奏が始まると共に女子ファン達が歌い出すGovana, AIDONIAはバイブス満タンで”Yeah Yeah""Banga""dat eazy" 、途中に奥さんをステージに呼び愛妻家をアピール、次にKhagoを呼びビッグチューン"nuh sell out "、最後まで会場を揺らした流石のリーダーだった。

aidonia ,khago

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"bit coin"から始まり”shub out ”"owna lane""なども披露、完璧なセットをこなした地元モンテゴベイ出身アーティストTEEJAYがステージに呼んだのはアフロビートの"Finesse"が世界大ヒット中のナイジェリア人アーティストPheelzで会場中ビッグサプライズに大歓声が上がった。そのほかにも若手アーティストのBrysco,Markus man などにも歌うチャンスをあげた。”from rags to riches"で観客の中に歌いに繰り出し会場中をまわった。

teejay pheelz

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太陽で会場も明るくなりジリジリと照らし始めた頃"clip tall"でIWAATA登場。そして"yahoo boyz" INTENCEと続く。
パンデミックの渦中に大活躍した若手21歳のアーティストJAHSHIIが出てきたのは朝7:00だった。若手ながらもボウンティキラーを思わせるような堂々さで、ジャマイカの犯罪、今行方不明になってる女性の話もし,暴力をふるい女性を殺害した犯人に対して罵声をあげた。 "born fighter "パワフルなステージで客を魅了した

 jahshii

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今年のSUMFESTダンスホールナイトベストパフォーマーとの声が高いMASIKA は"drug lawd"でステージ登場。"stay strong"3年まえSumfestから帰ってこのゲームを勉強して一生懸命仕事をしたんだ と"changes"ベビーマザーを賞賛した後の父親賞賛で"king"。少し喋ってバースを歌うスタイル。そしてinfrared とヒット曲を次々と出す最初から最後までエナジーみなぎるショーで歓声が鳴り止まなかった。途中 stefflon donもステージにあげ "moments"をサクッと披露。とにかくたくさんの曲数を早足で25分間で歌う凝縮スタイルだった。


masika,masika & stefflon don

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22歳のアーティストSKENGは、初日のラストパフォーマーという名誉あるポジションを獲得。"Gvman Shift""Brrp""Street Cred"など幅広いカタログのヒット曲を次々と披露。アルバムを出しておらず、2019年になってからダンスホール・ミュージックの世界に足を踏み入れたばかりにも関わらず実力を証明させた。

SKENG

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ずっと待ち焦がれたSUMFEST。観客はこれ以上ないほどの興奮を味わい朝8時ごろ帰路に着いた。

SUMFEST 2日目後半に続く。



OKAMAI

ジャマイカ在住14年のコーディネーター、ライター、ダブ屋、日本ツアーアーティストブッキングエージェント,ジャマイカでのツアーガイド。旅好きで行った国60カ国 "危ない世界の歩き方 危険な海外移住編""まずは行動する人がうまくいく”著者。 https://www.instagram.com/okamai_ja/


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